ガラスの街(シティ・オヴ・グラス) [本(フィクション?)]
「幽霊たち」に続いて、
ニューヨークを舞台に、一本の間違い電話から始まる奇妙な事件
が、主人公のじわじわ不安定になっていく絶妙な心理描写
で描かれています。
主人公の(私にとっては)意外な行動や、さまざまな
時代のたくさんの作品を行き来するような登場人物たちによる
言葉遊びのような会話が、とても刺激的な作品です。
この作品はポール・オースターのデビュー作ですが、その後の
彼の作品を読んでみてから、最初の作品からこれほど奥深い
ものを書いていたのか、と思いました。
ダニエル・クィン、ヘンリー・ダーク、
などなど。
彼の作品は、いくつも読んだ後になって「あれ?」と思って
読み直したくなる要素がたくさん散りばめられているようです。
しかも、最初の作品から自分でカメオ出演
この人すごいですわ。。。
ちなみに。
ポール・オースターの「ニューヨーク三部作」の第一作に当たる
作品ですが、この作品だけ翻訳が柴田元幸さんではありません。
同じ作者の作品について、いくつかの翻訳を比べる機会は
なかなかないと思うのですが、個人的にはこの作品も柴田さんの
翻訳で読み直してみたいように思います。
だって題名からして、「シティ・オヴ・グラス」では違和感があると
思うんです
実は「幽霊たち」の訳者あとがきで、柴田さん自身は
この作品を「シティ・オヴ・グラス」ではなく「ガラスの街」として
書いておられます。
柴田さん翻訳で「ガラスの街」を読んでみたいです!
でも。
山本さん、郷原さんの訳があったからこそ、その後で柴田さん
が翻訳されることになってのでしょう。
題名は違和感がありますが、読みやすい名訳だと思います
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